2009年02月24日

ムソルグスキー

ロシア・ペテルトブルグ出身の作曲家モデスト・ムソルグスキー(Modest Musorgsky,1839.03.21-1881.03.28)です。
代表作は「禿山の一夜」「展覧会の絵」などがあります。今年はムソルグスキー生誕170年にあたります。ムソルグスキーは、「ロシア国民学派“五人組”」に含まれています。
「ロシア国民学派“五人組”」というのは、19世紀後半のロシアで民族主義的な芸術音楽の創造を志向した作曲家集団です。 
アレクサンドル・ボロディン(1833-1887) ツェーザリ・キュイ(1835-1918) ミリイ・バラキレフ(1837-1910) モデスト・ムソルグスキー(1839-1881) ニコライ・リムスキー=コルサコフ(1844-1908)
19世紀後半のロシアといえばロマノフ朝いわゆる帝政ロシアの末期、アレクサンドル3世、ニコライ2世の時代で、シベリア開発など東方進出していたころです。このころロシアは革命にはまだほど遠かったものの、農奴制に基盤を置いた社会の歪が頂点に達し、社会不安は極限にまで達していました。このあと日露戦争(1904-1905)などによって帝政ロシアは解体し、レーニン、スターリンが台頭してきます。


ムソルグスキーは、「ロシア国民学派“五人組”」の中にあって、最も個性的な作曲家といわれました。富裕な貴族として生まれ、幼いころは母からピアノを学ぶものの作曲はまったくの独習でした。はじめは軍人になったのですが、やがて作曲の道を歩みだし“五人組”を作りお互い切磋琢磨していました。ロシア国民主義音楽を追求し、古くからあるロシアの民俗音楽を取り入れながらも、全音音楽、自然的短音階、それまでの枠にはとどまらない大胆な和声法を駆使しました。しかし、ムソルグスキーは著名でなかったこともあり、生前にはほとんど公に演奏されることもなく楽譜の出版すらありませんでした。彼の作品の多くは後世、編曲されたものが多くあり、現代ではオリジナル版よりも編曲版のほうが多く演奏されています。

さて、組曲「展覧会の絵 (Pictures at an Exhibition [Bilder einerAusstellung])」(1874)は、若くして亡くなった友人の建築家兼画家ハルトマンの遺作展に触発されて作曲された作品です。遺作展では400もの絵画が並びました。このうちムソグルスキーが強く印象に残った10枚の絵画を描いた10曲と、『プロムナード』5曲、『死者とともに死者の言葉で』の16曲からなります。印象を音楽に仕立て上げられており、その間にプロムナードという前奏曲あるいは間奏曲が挿入されているのが大きな特徴となっています。このプロムナードはムソルグスキー自身の歩く姿を現しているといわれています。亡き友を偲びつつ作品を鑑賞する姿が思い浮かびます。

プロムナード Promenade
1 小人(グノーム) Gnomus
プロムナード [Promenade]
2 古城 Il vecchio castello
プロムナード [Promenade]
3 テュイルリーの庭 - 遊びの後の子供たちの口げんか Tuileries - Disputed'enfants apres jeux
4 ビドロ Bydlo
プロムナード [Promenade]
5 卵の殻をつけた雛の踊り Ballet des poussins dans leurs coques
6 サムエル・ゴールデンベルクとシュムイレ Samuel Goldenburg und Schmuyle
プロムナード Promenade
7 リモージュの市場 Limoges - Le marche
8 カタコンブ - ローマ時代の墓 Catacombae - Sepulchrum Romanum
死者とともに死者の言葉で Cum mortuis in lingua mortua
9 鶏の足の上に建つ小屋 - バーバ・ヤーガ La cabane sur des pattes de poule -Baba-Yaga
10 キエフの大門 La grande porte de Kiev


もともとこの作品はピアノのための組曲でした。この作品を一躍世に知らしめたのが、『ボレロ』で有名なモーリス・ラヴェルによる管弦楽への編曲(1922)です。ただしラヴェル編曲版は 6. と 7. の間のプロムナードが削除された15曲です。『死者とともに死者の言葉で』は『プロムナード』の変奏であり、6番目の『プロムナード』と位置づけることもできます。その後もこの作品に触発された多くの編曲が出ており、名指揮者ストコフスキー編曲の管弦楽版、他にトゥシュマロフ、ウッド、アシュケナージ等による管弦楽編曲、そして富田勲のシンセサイザー版などがあります。


【組曲「展覧会の絵」】 ラヴェル編曲版です。指揮:エサ=ペッカ・サロネン(Esa-Pekka Salonen,1958-)フィンランド出身の指揮者、作曲家演奏:Philharmonia Orchestra(http://www.philharmonia.co.uk/)

posted by とある音楽家 at 08:34| Comment(3) | 作曲家たち | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
音楽と絵画のコラボ、素晴らしいですね。
プロムナードの意味が分かりました。
ムソルグスキー自身の歩く姿を現しているとのことですが「わが道を行く」という感じがします。
Posted by 春恋 at 2009年02月25日 10:32
よく耳にするメロディですね。
亡き友人への鎮魂の意味もあるのでしょうか。
音楽のもとになった絵画も見てみたいですね。
Posted by jupiter at 2009年02月25日 14:26
"古城"のバスーン(ファゴット)には強く心を揺さぶられますなぁ
Posted by ひろべ at 2009年02月25日 20:23
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